追い込まれる名門アパレル。販路としての百貨店に見切りをつけ始めた。
本誌:真城愛弓
「客が集まらないのに、『売り場を貸すから在庫も販売員も過不足なく用意しろ』と百貨店に言われるのはもう限界。経営陣には絶縁宣言をしてもらいたい」
前年比で2桁減が続く百貨店店頭の売り上げ数字を前にして、ある老舗アパレルの社員はため息交じりにそう口にする。
百貨店の衣料品販売額が1990年代初頭をピークに落ち込んでいく中でも、百貨店アパレル名門のオンワード樫山や三陽商会は売上高の過半を百貨店で稼ぎ、その蜜月関係を崩さずにきた。しかし、百貨店アパレルの大量閉店で、その関係は瓦解しようとしている。
長年にわたる経営不振の末、今年5月に子会社を通じて民事再生法の適用を申請したレナウン。30年前には国内アパレル企業で売上高首位を誇った百貨店アパレルの名門はスポンサーが見つからず、会社の清算に向けた整理を粛々と進めている。
買い手がつかないブランドは廃止し、9月末に大阪のアパレル企業・小泉グループに切り売りされた高級紳士服「ダーバン」や「アクアスキュータム」も、不採算売り場を大量に閉めた。
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