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ライフ #人が集まる街 逃げる街

高齢化が課題のベッドタウン 名張市 [三重県]

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  • 牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

名張市は三重県西部、奈良県と接する伊賀地方にある人口約7万5000人の街だ。大阪に勤めるサラリーマンのベッドタウンとして発展し長らく大阪都市圏に含まれていたため、今も大阪に勤める大抵の人がこの街のことをよく知っている。

名張駅から近鉄大阪線の特急電車に乗れば大阪難波まで50分強。大阪市内のオフィス街に約1時間でアクセスできる。1980年代前半から大規模な住宅団地の造成が行われ、江戸時代に街を治めた藤堂家の家紋にちなむ桔梗が丘をはじめ、つつじが丘、梅が丘など花の名を冠する団地が多くある。

名張藤堂家邸跡。近世上級武士の生活の場となった部分が残る全国的にも珍しい遺構(PIXTA)

京都、奈良にも1時間強でアクセス可能。隣の奈良県とともに自然災害が比較的少ない地域であることなどが評価されて、京阪奈地域に拠点を置く多くの企業が事業所や工場を求め、市内には大型の工業団地も造成されている。

この街は、奈良時代に東大寺の荘園として開かれた。その縁の深さは、毎年3月に行われる東大寺二月堂のお水取りに使われるたいまつが、770年以上前から市内赤目町一ノ井の極楽寺で調製・調進されていることからもうかがえる。一方、東大寺による荘園支配に抵抗した勢力が割拠する中で生まれたのが、歴史小説にも登場する伊賀忍者だ。名張は隣の伊賀市とともに伊賀忍者発祥の地である。

ベッドタウンとみられがちだが、自然環境も豊かだ。市の南部には、伊賀忍者が修業したとされる赤目四十八滝や香落渓(かおちだに)があり、昼夜の寒暖差が激しい盆地特有の気象条件を利用した農業や酪農も盛んだ。伊賀米やブドウ、イチゴ、メロン、野菜など生産量こそ少ないが高品質な農作物が生産され、伊賀牛はブランド和牛として知られる。市は大規模農業を志向せず、あえて少量でも品質重視の農業政策をとり、ベッドタウンの住民にも市民農園や福祉農園を通じて、農業をより身近な産業として感じてもらうことに注力している。

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