戦後の復興期を経て高度経済成長期に入った1950年代後半以降、白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機は三種の神器といわれた。中でも子どもたちが憧れたのはテレビで、この時期の小学生に人気だったテレビCMの1つに、伊東市のハトヤホテルのCMがある。作曲はいずみたく、作詞は野坂昭如と昭和を代表する作曲家、作家によるもので、当時は、関東・東海・近畿地方で頻繁に流れていた。「伊東に行くなら『ハトヤ』」「電話は4126(ヨイフロ)」など特徴的なリズムと誰にでもわかる歌詞で一世を風靡し、温泉地としての伊東を全国に知らしめた。
温泉の源泉数で大分県の別府、湯布院に次ぎ国内3位を誇る伊東温泉のほか、市内には宇佐美温泉、赤沢温泉などの温泉地がある。もちろん、ハトヤホテル以外にも、ホテルや旅館は多い。
伊東市は伊豆半島の東部に位置し、南北に長い。市の中心部にあるのが伊東温泉だ。市街は伊東大川に沿って奥行きがあり、川沿いに展開する温泉街に風情を感じる。傾斜の厳しい伊豆半島の中では比較的緩やかな傾斜地の多いエリアで、伊東の北に位置する熱海が急峻(きゅうしゅん)な山や崖に囲まれ、東洋のモナコと称されるのとは対照的だ。
市の北部、熱海市網代との境には、漁業と温泉の街、宇佐美がある。海水浴場が整備され、ダイビングなどマリンスポーツが盛んだ。市の南部には大室山、小室山などの山地や、別荘地としてよく知られる伊豆高原がある。また、門脇つり橋のかかる城ヶ崎海岸の断崖絶壁には、多くの観光客が訪れる。
別荘にも空き家問題の波
関東地方有数の観光地、別荘地として知られる伊東だが、現在は観光と別荘の両面に課題を抱えている。まず観光についてだが、伊東市の観光客数は91年の895万人がピークで、近年改善傾向にあるものの、2019年で662万人とピーク時の74%の水準だ。宿泊客数も91年の394万人に対し19年は281万人と70%程度になっている。レジャーに対する意識変化により、最近は、海水浴客の落ち込みも激しい。
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