「利上げは考えることすら考えていない」。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月10日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見でそう語った。
今回のFOMCで示されたのが、「少なくとも2022年末まではゼロ金利政策を継続」という見通しだった。FOMCメンバー17人中15人が同じ考えで、異論を唱えたのは2人だけというのは驚きだ。
それは、米国経済の先行きに対するFRBの厳しい見方を示唆する。パウエル氏は「将来には絶大な不確実性がある」「経済の回復ができるだけ力強くなるよう、使える手段は何でも使う」と述べた。
FRBは3月15日に緊急FOMCを開き、リーマンショック時以来のゼロ金利政策を復活させた。新型コロナウイルスの感染が米国で急速に広がり、同13日にトランプ大統領が国家非常事態を宣言した直後だった。量的緩和も再開したが、金融市場の動揺が続いたため同23日には米国債、住宅担保ローンの購入規模を「無制限」へ拡大し、初の社債購入も開始した。
4月9日にはジャンク(投資不適格)級に落ちた社債まで購入することを決断。ウォール街出身のムニューシン長官率いる財務省と一体化した大胆な金融緩和で、市場は大混乱から立ち直った。
それでもFRBの慎重姿勢は変わらない。パウエル氏が強調したのが、雇用情勢への懸念だ。5月の失業率は13.3%と、前月から予想外に改善したが、「失業の実態を過小評価している」と言及。「雇用はされているが休職している人を含めれば、失業率は発表数値を約3%ポイント上回る」と指摘した。
FOMCの見通しでは、失業率は20年10~12月期が9.3%、22年同期でも5.5%と、コロナ発生直前の3.5%までは戻らない。つまり、回復ペースは遅いとの見方だ。パウエル氏は、コロナ禍で消費者と企業は自信を喪失しており、コロナ第2波懸念で「景気は異常に不透明」だと言う。
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