新型コロナウイルスの危機が終息した後、世界はどのように変わっているだろうか。今回の感染拡大を受けてビジネスでは「社会的な距離」が急速に広がり、経済のデジタル化に加速度がついた。こうした大きな変化の中で、仮想通貨(暗号通貨)の利用も広がっていくことになるだろう。
米政府当局は、暗号技術の利用拡大に長らく二の足を踏んできた。テロや麻薬取引、資金洗浄(マネーロンダリング)に悪用される危険があるからだ。だが消費者の期待は1990年代以降、大きく変わった。今ではインターネット上の情報の大半が暗号化されている。「ワッツアップ」や「テレグラム」のような対話アプリが普及し、私的なメッセージも暗号化が普通になっている。
そうはいっても、まだプライバシーの確保が常識になっていない分野がある。個人の金融情報だ。金融機関は顧客から各種個人情報を取得するよう法で義務づけられている。ところが、入手した情報は最終的にオンライン上のデータベースに保管されるため、ハッカーの標的になりやすい。2017年には米消費者信用情報大手のエクイファクスがハッキングに遭い、機密性の高い個人情報を大量に漏洩させる事件を起こしている。被害規模は1億4700万人分と、米人口の半分近くに達した。
幸い、解決策は見えている。暗号通貨を使えば資金の移動がより迅速になり、決済コストが下がるだけでなく、利用者のプライバシーも大幅に強化されるからだ。
ビットコインがブームになった当初、これを匿名通貨と勘違いした人は少なくなかった。現実には分散型台帳(ブロックチェーン)技術を用いたビットコインには全取引履歴が電子的に記録されるため、取引履歴を追えば、捜査当局は犯罪者にたどり着ける。またコインベースのような取引所も強力な資金洗浄対策プログラムを持ち、通常の金融機関と同じくらい顧客の実態把握に努めている。
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