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ある財閥オーナーの死と韓国企業の現在 世代交代が進む韓国財閥の経営者

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韓国を代表する経営者の一人、金宇中(キムウジュン)氏が2019年12月9日に亡くなった。享年82。1967年に社員5人で創業した大宇実業を、韓国財界2位の企業集団・大宇グループへと成長させた韓国立志伝中の人物だ。

ところがアジア通貨危機を受けた97年末の「IMF危機」で、巨額の借入金が財務を急速に悪化させ、99年に経営破綻してしまう。金氏は国外での逃亡生活を続けたが、05年に帰国。横領や詐欺の罪で懲役10年の判決を受け、多額の賠償金を支払うことになった。

一時は社員30万人超を擁した大企業集団は、現在は大宇建設、大宇造船海洋などに社名を残すのみ。韓国人の間でも「大宇」の存在は希薄なものになってしまった。

一方で、金氏ほど韓国企業の中でいち早く「世界経営」を打ち出した経営者はいなかった。「海外へ目を向けよ、挑戦しようと呼びかける金氏の姿は、若い世代にはまぶしく見えた」と、80年代に大学生だった元大宇社員は振り返る。当時は大宇が右肩上がりの成長期。また、全斗煥(チョンドゥファン)政権の権威主義的な政治に対し、政権辞任と民主化を求める学生運動との対立は激化。韓国社会にどこか陰鬱な雰囲気が拭えない時期に、金氏の言葉はより輝いてみえた。

金氏は、次世代のために経済成長を成し遂げるのだという思いが強かった。彼が繰り返し口にした「世界は広く、やることは多い」「未来は君の手の中に」には、金氏の信念と経営哲学が込められていた。これに、経済成長こそ軍事政権の正当性につながるとした政権の経済政策の歩調が合った。金氏は文字どおり海外を飛び回り、世界各地で投資を繰り返した。

続く「倒行逆施」の弊害

「オーナーが積極的に経営しているのはいいが、リスクが大きすぎて危なっかしいな、と感じた」と、当時の金氏を知る日本の元商社マンは振り返る。韓国財閥の優位性は「スピード経営」だと現在でも評価される。創業者やその一族であるトップの即断即決があるからこそ、変化の激しい時代の経営に対応できるという見方だ。

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