トランプ米大統領が2020年大統領選挙の民主党有力候補、バイデン元副大統領の汚職を暴くようウクライナの大統領に圧力をかけたとされるウクライナ疑惑。聴聞会でトランプ氏に不利な証言が積み上がった最大の理由は、高官たちがホワイトハウスの命令に背いて証言に応じた点にある。近年では例を見ない出来事だ。多くは外交官で、中には聴聞会に出るために職を辞した官僚もいる。
トランプ氏は政権を運営するということがどういうことかまるでわかっておらず、大統領就任当初から実務を取り仕切る公務員を攻撃してきた。大きなミスだ。役人には民間で働けば大金を稼げる人材が少なくないが、彼らは公共に奉仕する名誉のために働いている。トランプ氏はそうした官僚の矜持を見くびっていたか、はなから理解できなかったのである。
トランプ氏は影のチームを作り、独断で外交を進めたことで問題をいっそう大きくした。影のチームを率いるのは、もはや奇妙なまでに制御不能となったジュリアーニ元ニューヨーク市長だ。市長として称賛された同氏も、今ではトランプ氏の顧問弁護士として各方面でトラブルを巻き起こしている。
ジュリアーニ氏らは官僚機構を飛び越え、やりたい放題の裏工作を繰り広げてきた。だが、こうした裏工作はたいてい裏目に出るものだ。ニクソン氏とトランプ氏には際立った共通点が1つある。政敵をたたくのにも節度が求められることが理解できず、弾劾の窮地に立たされるようになったことだ。
ベテラン外交官として尊敬を集めていたヨバノビッチ駐ウクライナ米大使が突如解任されたのは今年5月。この件がきっかけで国務省スタッフの士気低下に拍車がかかった。ヨバノビッチ氏はウクライナに首を突っ込んでくるジュリアーニ氏に抵抗していたが、何の説明もなく「次の飛行機に乗れ」と帰国を命じられたという。一方、「ポスト・トランプ」として大統領への野心を隠しきれないポンペオ国務長官は“忠臣”を演じ続けており、ヨバノビッチ氏をかばおうとすらしていない。
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