今年は例年より多くの日本人や在日コリアンが北朝鮮を訪れたようだ。日本からの訪朝者数は年間300人程度だが、今年は500人を超えると旅行業界ではみられている。9月には数十人規模の団体客も複数、北朝鮮を訪れている。
今年9〜10月に訪朝した日本人らに聞くと、「経済状況は悪くなかった」と言う。ホテルなど施設の停電は皆無で、外食先の食事はメニューが豊富。商業施設では多くの人が買い物を楽しみ、商品も十分にあった。元山(ウォンサン)市や咸興(ハムン)市など地方都市に向かう際に通る幹線道路では、荷物を満載にしたトラックの通行量が増え、客であふれんばかりのバスとすれ違うことも多かったと口をそろえる。
もちろん、訪朝する外国人の行動は一定の制限を伴う。北朝鮮に都合のよい場所だけ見せていることもなくはない。さらに、米国主導の経済制裁はいまだ厳しいままで、2010年から回復傾向にあった北朝鮮経済は制裁の打撃を受けているとの見方は日本でも根強い。それでも訪朝者が見聞きした部分が、リアルな北朝鮮の一断面であるのは間違いない。
大企業を直接管理?
一方で、政治体制から経済状況を見ると、違う面も見えてくる。たとえば、北朝鮮当局と取引をするビジネスマンたちから、この夏ごろから聞こえてくるのは、「経済連合体」という名だ。
ある外国人ビジネスマンは、「北朝鮮に輸入しようとした商品が突然押収された。領収書を1枚渡され、『代金は金があるときに支払う』と言われた」と打ち明ける。その領収書の受取人が、「朝鮮民主主義人民共和国経済連合体」。領収書には、事務所の所在地も印鑑も、サインさえなかった。
この連合体の実態はよくわかっていない。ただ大城(テソン)、金剛山(クムガンサン)といった名前で海外でも知られる大企業14社がメンバーであり、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長直属とされる組織だという。こういった企業はこれまで、党や軍の傘下に置かれ個別に活発な対外ビジネスを行い、稼いだ利益の一部を国家に上納してきた。うがった見方をすれば、政権中枢が、国家運営に必要な資金を直接かつ広範囲で確保する必要に迫られたのか。ということは、手持ちの資金が十分ではない、ということになる。
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