有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #経済を見る眼

消費税10%後の議論を始めよ 10%のままで済むとは思えない

3分で読める 有料会員限定
  • 佐藤 主光 一橋大学大学院経済学研究科教授
一橋大学教授 佐藤主光(さとう・もとひろ)1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

10月1日に消費税が10%に増税された。さらなる消費増税は「10年間必要ない」との向きもあるが、10%のままで済むとはとうてい思えない。

現在、政府は2025年度までに国・地方の基礎的財政収支(PB)を黒字化させることを財政健全化目標として掲げている。しかし、足元の成長を前提としたベースラインケースでは25年度においても対GDP(国内総生産)比で1.2%程度の赤字が残る。

IMF(国際通貨基金)は医療費を含む社会保障費の適正化などと合わせて消費税率を15%まで徐々に引き上げることを提唱している。また、OECD(経済協力開発機構)は財政の持続可能性を消費税だけで確保する場合、20〜26%への税率の引き上げが将来的に必要と試算した。国内でも経済同友会は将来的にPB黒字を維持するための消費税率を17%とする。

この背景には人口の高齢化に伴って増え続ける社会保障費がある。わが国の社会保障費の財源は社会保険料と合わせて公費からなる。公費は税金とその不足分を財政赤字でもって埋め合わせなければならない。実際、国・地方の財政赤字の大きな要因は社会保障費であり、財政が健全化しなければ、社会保障の持続性も危ぶまれる。

消費増税は景気悪化の「原因」になるとの批判もあるが、増税は社会保障費増の「結果」にすぎない。歳出の効率化は進めるとしても、問われるべきは再増税の是非というより社会保障の財源をどのように賄うか、なのである。

仮に消費税を増税しないとすれば、社会保険料を引き上げざるをえないだろう。しかし、社会保険料は勤労者の負担が多くなり、雇用にもマイナス影響となる。むしろ、消費税のほうが世代間で負担を分け合え、社会保険料に比べて経済活動への歪みが少ない。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数