来る2020年、クラシック界最大のトピックは、ベートーヴェン(1770〜1827)生誕250年だ。このメモリアルイヤーに向けて、国内外でさまざまなイベントが計画されている。
その先陣を切って今年8月29日と9月1日に開催される「パーヴォ・ヤルヴィ&N響 オペラ《フィデリオ》」(Bunkamuraオーチャードホール)は、「ベートーヴェン唯一のオペラ」の真価を体験する貴重な機会となりそうだ。
クラシック史上にその名を残す数多くの作曲家たちの中でも、ベートーヴェンがとくに注目される理由の1つは、「手がけたジャンルすべてで最高の結果を残した」という実績だ。交響曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽、ピアノ曲、そして歌曲、宗教曲にオペラまで。これら各ジャンルをベートーヴェンと同レベルで残した作曲家は、“アマデウス(神に愛されし者)”モーツァルト以外には見当たらない。この2人が、クラシック史上最高のオールラウンダーだといえるだろう。
しかし、そのベートーヴェンをもってしてもオペラは決して簡単なものではなかったようだ。56年の生涯の中で彼が完成できたオペラは『フィデリオ』1作のみ。しかも1805年の初演以降9年にわたって改訂を繰り返し、作品全体の肝となる「序曲」を4つも書き残したあたりに、ベートーヴェンの苦悩の跡がうかがえる。
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