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『レオナルド・ダ・ヴィンチ(上・下)』 傑人が残した「メモ」から思考の中身を垣間見る

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レオナルド・ダ・ヴィンチ(上・下)(ウォルター・アイザックソン 著/土方奈美 訳/文藝春秋/各2200円+税/上389ページ、下341ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
【著者プロフィル】Walter Isaacson/1952年生まれ。米ハーバード大卒。英オックスフォード大修士。米『TIME』誌編集長、CNNのCEOを経て、作家として評伝を執筆。スティーブ・ジョブズに直接依頼され、著した『スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ』は世界的ベストセラーになった。

アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズの伝記が世界的なベストセラーとなり、一躍脚光を浴びた伝記作家、ウォルター・アイザックソンの新刊である。

なぜ今、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記を書こうとしたのか。それは、科学と芸術、人文学と技術といった異なる領域を結びつける能力こそが真のイノベーションのカギとなるという、アイザックソンが一貫して追い求めたテーマを最も深く体現しているのが、レオナルド・ダ・ヴィンチだからである。

またレオナルド、グーテンベルク、コロンブスが生きた15世紀は、発明、探求、新たな技術によって知識が「拡散」する時代だった。それは私たちが身を置く現代と類似している点も見逃せない。

本書の際立った特徴は、レオナルドの代表作である20点あまりの絵画を物語の中心に据えるのではなく、7200ページに及ぶ彼の「メモ」を元に書かれた点だ。

メモの中身は多彩だ。買い物リスト、やることリスト、科学的な探求、人体解剖のスケッチといった内容が、びっしりと書き込まれていた。その分量と内容の濃さから、レオナルドの頭の中の一端をのぞき込むことができる。

膨大なメモの中でも特に目を引くのが、鋭い観察眼、旺盛な好奇心、実験による検証、通説や常識を疑う姿勢だ。レオナルドは鋭い観察眼で事実を見抜き、それが通説と異なる場合、何度も実験を繰り返して検証し、理論を導き出した。このような経験主義的なアプローチは、レオナルド生誕年の112年後に生まれたガリレオ・ガリレイが祖といわれている。この点をとっても、レオナルドの知性の輝きを見ることができる。

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