【著者プロフィル】たなか・あきら/WOWOW代表取締役社長。1954年長野県生まれ。早稲田大学卒業後、79年に日本テレビ入社。スポーツ中継に携わり、編成部長などを歴任。2005年にスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)へ。15年より現職。
スポーツの世界がいま大きく変わろうとしている。最新のテクノロジーを取り入れた「スポーツテック」の分野に熱い視線が注がれており、5Gのサービスによって新たな観戦のスタイルが生まれる可能性が生じている。政府も成長戦略の1つに「スポーツ市場の拡大」を掲げている。
だがスポーツを取り巻く環境がどんなに変わっても、その本質はけっして変わらない。それは「スポーツはドラマである」ということだ。
本書は箱根駅伝、プロ野球、Jリーグ、サッカーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックなど、あらゆるスポーツ中継を経験し、現在WOWOW社長を務める著者が、社員研修で講義した内容をまとめたものだ。コンテンツ制作の真髄が惜しげもなく披露されており、スポーツを愛するすべての人にとって有益な1冊となっている。
スポーツ中継で最も大切なことは何か。それは「フィロソフィー」であると著者は言う。なぜそのシーンを撮るのか、何をどう伝えるのか、その前提となる哲学のことだ。
1991年、東京で開催された世界陸上のホスト局に日本テレビが選ばれた。全競技の国際映像を制作して各国に配信するのが主な役割だった。この時、著者たちが掲げたフィロソフィーは「競技はシンプルに。競技以外はドラマチックに」というものだった。
国際映像には細かな取り決めがある。国際陸上競技連盟は種目ごとにカメラ位置などを定めたガイドラインを設けており、ホスト局はこの約束事を守ったうえで、独自性のある映像を制作している。
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