3月31日、台湾国防部が、同日午前11時ごろ、中国のJ-11戦闘機2機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側空域に侵入したと発表した。中国軍機が台湾海峡の中間線を故意に越えるのは極めて異例である。台湾は戦闘機計6機をもって対応した。両軍機の対峙は約10分間続いたという。
台湾は強く反発した。台湾メディアによれば、蔡英文総統は翌4月1日に「国家安全会議」を開き、「中間線を故意に越える挑発に対しては、直ちに強制的に排除せねばならない」と軍に伝えた。軍事衝突をも辞さない構えだ。
こうした中台間の軍事的緊張が高まる原因は単純ではない。台湾が警戒感を強める背景には中国の軍事的圧力があり、中国が台湾を牽制するのは台湾が独立志向を強める可能性があるからだ。
この相互作用に、米国の関与が影響を及ぼす。米国の台湾への積極的な安全保障協力には対中国牽制の意味も含まれる。米国は中国の台頭に危機感を強めている。米国の態度は、台湾を鼓舞する一方で、中国の危機感をあおる。米国が自国の発展を妨害すると考える中国は軍備増強を加速する。それがまた、米国の警戒感を強めるのだ。
さらに、一見、有利に働きそうな事象が危機感をもたらすこともある。2018年11月に実施された台湾の統一地方選挙での蔡英文総統率いる民進党の大敗は、中国の思惑どおりだ。しかし、中国はかえって台湾の独立志向に警戒しなければならなくなった。
支持を失った蔡英文総統および民進党が、民進党本来の政策をとり始めているからだ。そこには台湾独立支持が含まれる。民進党大敗の理由は、蔡英文政権が、民進党支持者と国民党支持者の間でバランスを取ろうとし、双方の支持を失ったことにある。
蔡英文総統は、自らが支持を失った原因を理解し、17年後半から、より民進党らしい政策へと舵を切った。中国は、統一地方選の結果を歓迎する一方、蔡英文政権が独立支持に動くことをおそれなければならなくなったのである。
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