欧州進出の大チャンスを何としても取りたかった
昨年12月に同業の米プラクスエアから、欧州の産業ガス事業を49億ユーロ(約6300億円)で買収した。産業ガスはお客さんのいる地域で生産して供給する、消費地立地の商売だ。しかし、これまで欧州には地盤そのものがなかった。今回の買収で日本、米国、アジア・オセアニアに欧州が加わり、世界4極体制ができた。当社の技術やノウハウを最大限に活用し、シナジー効果を出していく。
──今回の買収は、世界2位の独リンデと3位のプラクスエアの経営統合がきっかけでした。
世界大手同士の統合は極端な寡占化につながるため、米国や欧州の競争当局が2社に事業の一部譲渡を課した。それで千載一遇の買収チャンスが転がってきた。
当初は米国での事業買収を狙っていたが、すでに全米でシェア上位に入っているため、規制当局の反応が芳しくなかった。それで欧州に狙いを変えた。これほど大きな売却案件が欧州で出ることはもうないだろうから、何としても買収を成功させたかった。
──これまでも米国や豪州を舞台に数多くの買収を行ってきましたが、今回は買収額が巨額です。
決して高値づかみではない。取得した欧州事業の年間売上高は1600億円超で、当社が30年以上かけて大きくした米国事業に匹敵する。しかも、中身が非常によくて、営業利益は二百数十億円、利益率で15%以上ある。欧州は大手の寡占で競争環境が落ち着いているうえ、引き継いだ顧客には長期契約先が多く、取引の条件がいい。
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