米国の財政状況には、改善の兆しが見えない。議会予算局(CBO)によれば、財政赤字は2020年代を通じて国内総生産(GDP)比で4%台となり、過去50年間の平均(同3%弱)を上回る。それにもかかわらず、米国では財政赤字に対する問題意識の低下が著しい。
2大政党で、先に財政赤字への問題意識を失ったのは共和党だ。
トランプ大統領は、明確な財政再建策を示さず、公的年金や医療保険を削減しないと公約して当選した。従来の共和党の路線からは、大きな転換である。そのトランプ大統領に共和党は従った。当時、上下両院で多数党だった共和党は、17年の大型減税、18年の歳出上限引き上げと、財政赤字を拡大させる政策を次々と容認した。
19年2月の一般教書演説で、トランプ大統領は財政赤字に一言も触れなかった。理由を問われたマルバニー首席補佐官代行は、「誰も気にしていないからだ」と言い放ったと報じられている。下院議員時代の同代行が、過激に小さな政府を主張するティーパーティーの中心人物だったことを考えると、隔世の感がある。
勢いづく民主リベラル派
共和党の後を追うように、民主党でも財政赤字への懸念が薄れつつある。
民主党は大きな政府を好むといわれるが、1990年代以降の米国で財政健全化を担ってきたのは、民主党の中道派だった。「新しい民主党(ニューデモクラット)」を掲げたクリントン政権は、財政健全化を経済政策の主軸とし、財政の黒字化を実現した。2000年代のオバマ政権も、金融危機後の財政再建に成功している。
その民主党で「脱クリントン化」が進む。クリントン政権のサマーズ元財務長官らは、今のような低金利が続く限り、財政赤字が経済に与えるリスクは小さいと指摘する。民主党はインフラ投資や温暖化対策など、赤字を増やしてでも自らが信じる政策を進めることを考えるべき時期だ、というわけである。
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