「24時間戦えますか」と勇壮なメロディーでビジネスマンを鼓舞した栄養ドリンクのCMが流行したのは、1980年代後半。バブル景気の真っただ中だった。
海外からエコノミックアニマルと評された日本人は労働時間の長さを競った。終業後も帰宅せず、「5時から男」に姿を変え、寝る間も惜しんで上司や同僚と飲みに繰り出した。
「ブラック企業かもしれない」という疑念など皆無だった。働いた分だけ残業代が支給され、業績という数字で見える成長がカンフル剤となった。拘束時間の長さは、自分がどれだけ必要とされているかの証しであり、生産効率は度外視された。時間も心も企業に捧げたビジネスマンこそが、右肩上がりの経済成長を築いたのだ。
今、大阪のあるコンビニフランチャイズ店のオーナーが話題になっている。人手不足でアルバイトを確保できず、オーナーが品出しからレジ打ちまで14時間以上働く。24時間営業を断念し19時間営業を強行、本部から契約解除と違約金を求められ、協議中だ。
一方、挑戦的な働き方改革を断行した例もある。京都のある店は1日100食のステーキ丼を売り、午後6時に全員帰宅する。
通常、飲食店の経営指標となる売り上げ増や多店舗展開は捨てた。従業員の働くインセンティブは給与アップではなく、早く売り切り、早く帰ること。絶対に譲れないのは、「家族で晩ご飯を一緒に食べること」と経営者は言い切る。
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