ディー・エヌ・エー(DeNA)は昨年の12月5日、乗車料金が無料になる「ゼロ円タクシー」の走行を開始した。
乗客が支払うタクシー料金を、タクシーの車内外で展開する広告宣伝費で賄い、無料タクシーを実現するという。まずは、都内で50台のタクシーからスタートした。
このニュースは多くのメディアが取り上げたが、抜け落ちている議論がある。それは、無料サービスがもたらす社会的コストだ。
ネット上には空間的制約がない。新たなゲームソフトを開発しようが、広告宣伝のためのバナーを増やそうが、追加的な商品やサービスが他者のネット上の行動制約になることはない。だからこそ、ネット上では広告モデルといわれるビジネスモデルが成立する。
しかし、リアルはまったく違う。リアルな車道には物理的空間という制約がある。無料タクシーが氾濫し、道路を占拠すると、渋滞が起こり、ほかの自動車の走行効率は悪化する。これは経済学では、商取引の当事者以外にもたらされる意図せざる影響という意味で「外部不経済」と呼ばれ、伝統的に問題視されてきた。
東京など人口が集中する都市部では、多くの人が公共交通機関を使うことで高い生産性の維持が可能となる。自動車では、重要な仕事や急病などで一刻を争う人がスムーズに移動できることが重要だ。
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