マーケティングは神話だった、というとき、それはまず「科学的な検証を欠いていた」という意味だ。第3回と4回そして5回の冒頭ではこの点を掘り下げていきたい。
病気の原因を突き止めようとしたとき、医学には2つのアプローチがある。病理学と疫学だ。まず病理学的なアプローチだが、これはマーケティングの世界では望むべくもなかった。
顧客一人ひとりがどのような経路で商品を知り、興味を持ち、最終的に購入するに至ったのか。これを「カスタマージャーニー」と呼ぶが、マスマーケティングの時代、この道程は解剖=詳細に分析できるものではなかったからだ。
しかしアドテクノロジーがこの状況を変えた。インターネットにおける一人の顧客の行動、例えばバナーや動画を見た(が、クリックはしていない)後に特定のワードで検索をした、などと詳細に追うことが、ブラウザクッキーの技術により可能になった。
またオフラインの購入でも、購買データを記録できるデータベースを保持していれば、一定の条件の下、購買までの道のりをたどることができる。
特定の動画を見て商品に興味を持ち、検索して詳細を調べ、最終的に購入したというカスタマージャーニーがここでつまびらかになる。プライバシーの問題が横たわるが、そこはまた後ほど詳述する。
次に疫学的なアプローチだ。テレビCMのGRP(延べ視聴率)や配布したチラシの数など複数の因子を多変量解析し、売り上げや来店客数などとの相関関係を明らかにするマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)の考え方は、決して新しいものではない。
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