スイス・ロシュによる株式の過半保有を受け入れる先鋭的な提携を結び、中外製薬の飛躍の基を築いた業界きっての論客、永山治会長。その目に平成の日本の製薬業界や今後の課題はどう映っているか。
「世界狙うなら研究開発費は最低5000億円」
日本の製薬産業にとって平成は前半と後半で様相が違う。前半は製薬大手が米国など海外に進出し、国際的に躍進した時代だった。だが後半は大型薬の特許が切れる2010年問題があり、創薬でも出遅れていった。
欧米の製薬業界では1980年代から合併が相次いだ。創薬技術でも低分子から高分子の抗体・バイオへのシフトが起きていた。低分子と高分子、両方の研究開発を行うには膨大なおカネがかかる。これができる投資余力をつけるために欧米製薬企業は戦略的に合併で規模を拡大した。
日本の製薬企業はこの流れについていけなかった。バイオなどを研究開発する余力のない日本企業にとって、得意の低分子で勝負し続けるのは常識的な発想だっただろう。
米国にはバイオベンチャーがあったことも幸いした。アカデミアに近い研究をし、臨床試験(治験)でよい結果が出ると製薬大手が高いカネで買い取った。大手はこれでバイオ研究を内部で行うようになる。こうしたエコシステムは日本になかった。
中外製薬は83年からバイオを手掛け始めた。最初からバイオへの流れがわかっていたわけではないが、必要になり抗体技術力を上げていった。バイオで世界に出ると決めたが単独では世界の大手と到底戦えない。それでロシュと戦略提携をした。
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