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南海トラフ地震への備え 複合的な視点で対策を

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今後30年以内に7〜8割の確率で起きるとされる南海トラフ地震。死者の想定は最大で32万人、被害額は1000兆円を超えるとの試算もある。企業の備えはどうあるべきか。防災・減災が専門の福和伸夫・名古屋大学教授に聞いた。

ふくわ・のぶお●1957年生まれ。名古屋大学減災連携研究センター長。建築耐震工学、地震工学、地域防災が専門。一般向けの「減災講演」にも力を入れる。(撮影:尾形文繁)

──南海トラフ地震について強く警告をしています。

国民の半数が被災者になるかもしれない巨大地震は必ず起きる。そのため、できるだけ被害を小さくする方策を具体的に考えないといけない。

──名古屋の企業と一緒に防災の研究会を開いているそうですね。

愛知県に拠点を置く約70組織が集まり、防災や減災について話し合う「ホンネの会」を毎月1回開いている。「自分の組織の悪いところを正直に話す」「うそをつかない」をルールにしている。

たとえば、あるメーカーが「エネルギー源として電気が止まってもガスがある」と言えば、ガス会社は「電気がないとガスはつくれない」と実情を話す。ガスや電気をつくるには工業用水が必要だが、調べてみると愛知県三河地域の工業用水は農業用水から取水しており、組織を超えた連携が必要なことがわかった。また、工業用水の浄水や送水には電力や燃料も必要だった。社会インフラがどこか1カ所でも壊れれば、たちまち企業は機能停止してしまう。

──自治体とも研究会を開いています。

愛知県の西三河地区(岡崎市や豊田市など9市1町)の市や町の幹部を集めて防災対策のワークショップなどを行っている。そこでわかったのは、それぞれの自治体は災害に備えて計画を作っているが、周辺の自治体とどう連携するかという観点が抜け落ちていることだ。たとえば、緊急輸送道路が市の境界でつながっていない箇所があったり、避難所の設置が自治体ごとの発想にとどまり、隣接地域から住民が逃れてくることを想定していなかったりしていた。

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