安倍外交に対する信認が揺らぎ始めているようだ。
だが、安倍晋三首相にイエローカードを突き付けているのは従来のアンチ勢力ではない。これまで熱心だった安倍応援団からの不満が顕著なのだ。
中でも評判が悪いのが、日中首脳会談と対ロ外交である。安倍首相は10月の首脳会談で日中の関係改善を進め、ロシアとは北方領土問題をめぐり交渉を続けている。
だが、政権はむしろ脱応援団の外交を展開すべきだろう。というのも安倍応援団を意識した外交でこれまで失敗を繰り返してきたからだ。
日韓関係では河野談話を引っ繰り返したものの、逆に戦線を後退させてしまった。やっと慰安婦問題で合意に至ったものの、それを破られている。日中関係では、2014年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で日中首脳会談を行うために「四つの基本文書」なるものに合意し、あらためて歴史認識の重要性でくぎを刺される始末だ。
なぜこういうことが起きたのか。明らかなのは、単に国内向けに威勢のよいことを言うだけで根本的な解決策を示さない、無責任な言説が外交のベースにあることだ。
その点、日中首脳会談を見ると政権はやっと現実的な外交に立ち返ったようにも思える。
主な不満の声は、「米国がこれほど中国に厳しいときに、何も自ら進んで中国との距離を詰めなくても」というものだ。または、「弱った中国が日本にすり寄ってきたが、また日本は利用されるのでは」という懸念の声もある。
だが、これらはあまりに単純な見方だろう。そもそもすり寄ってきた国が、直前に会談の日程を変更してくるだろうか。
当初、日本が予定していた首脳会談の日程は10月23日だった。それが中国側の都合でずれ込んだ。では習近平国家主席がその日、何をしていたのかといえば、香港・マカオ・珠海を結ぶ「港珠澳大橋」の式典へ出席し、その後広東省への視察を行っているのだ。
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