有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #マネー潮流

歴史的な円安に到達するのか 来年のドル円相場に注目

3分で読める 有料会員限定
  • 佐々木 融 ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト
ささき・とおる●2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

貿易黒字の減少が目立ってきている。国際収支ベースで見た今年1~9月の貿易収支は1.9兆円の黒字にとどまり、前年同期の3.8兆円から半減している。原因はエネルギー価格の上昇を主因とした輸入の増加だが、その他の品目の輸入額も増加が目立つ。JPモルガンでは今年の貿易収支は2.3兆円と、昨年の5.0兆円から半分以下に落ち込むと予想している。また、足元で原油価格は下落しているが、エネルギー輸入以外の変動も考慮し、来年もさらに1.4兆円まで黒字額が減少すると予想する。

こうした貿易収支の予想に加え、米国の利上げを背景に、日米10年国債の金利差が来年末までに現状レベルから0.03~0.40%ポイント拡大することを想定して、貿易収支と日米10年金利差を説明変数にしたモデルで試算すると、来年末のドル円相場のフェアバリューは1ドル=123円近くになる。

購買力平価を用いて1980年以降38年間の実質的なドル円相場の水準感を見ると、82年10月ごろの水準(1ドル=277円)が最も円安・ドル高となっている。  

現在、当時と同レベル、つまり実質的に歴史的な円安・ドル高水準と同等のレベルはちょうど123円まで下がってきている。本邦企業による対外直接投資も依然として活発な状況下で、歴史的な円安水準に到達するかどうか、来年のドル円相場は注目だ。

来年、円安の進行を止める可能性がある材料としては、日米物品貿易協定(TAG)交渉が注目を集めるかもしれない。

12〜13日にペンス米副大統領が来日したが、その後、12月半ばに米国側が「貿易交渉の主な目標」を示し、交渉開始は来年1月半ばとみられている。したがって、12月ごろには日米間の協定に「為替条項」が入るかどうかが再び注目を集め、円相場への影響もありうる。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数