西洋各国で台頭する右派ポピュリズム(大衆迎合主義)は、一過性の流行にとどまらない可能性がある。人口が高齢化する中、政治力学が一段とポピュリスト優位に傾いてきているからだ。
英国で欧州連合(EU)離脱に票を投じたのは、圧倒的に高齢者だった。米国でも高齢者票が決め手となり、トランプ氏が大統領の座を手にした。高齢者の熱狂的な支持がなければ、ポーランドやハンガリーで強権的な右派政党が政権を奪うこともなかっただろう。イタリアでは、極右政党の「同盟」が高齢者の不満を吸い上げ、躍進した。欧米の極右政党で若者頼みなのは、ルペン氏率いるフランスの「国民連合」くらいだ。
来春には欧州議会(EUの主要機関)の選挙が予定される。ここでも高齢者が結果を左右することになるだろう。ある調査によれば、高齢者(中でも低学歴の人々)は、欧州議会やEUに強い不信感を抱いている。高齢者が強権政治家のシンパとなる背景には、EU的な民主主義への反感がありそうだ。
グローバル化に対する不安感も、高齢者を排外主義の政治家に向かわせる原因となっている。移民の増加に高齢者は恐怖を感じている。雇用を支えてきた伝統的な産業も、グローバル化によって崩壊が進む。20代や30代と違って、経済のデジタル化によっても高齢者は落伍させられつつある。しかし、頼みの年金は昔と違ってやせ細り、高齢者を貧困の恐怖から救い出してくれる存在では、もはやない。
しかも高齢者有利の制度にいらだった若者からは高齢者優遇を見直せとの声が上がり、締め付けは強まるばかりだ。イタリアの同盟と連立政権を形成する左派ポピュリスト政党「五つ星運動」は、年齢不問で全失業者に現金を支給する「市民所得」を公約に掲げ、若者を取り込んだ。高齢者が極右のポピュリストに吸い寄せられる一方で、若い世代が極左のポピュリストになびく構図となっている。
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