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移民排斥で揺らぐ欧州連合 ポピュリスト台頭の必然

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ドイツのコール元首相がこの世を去って1年が経つ。1982〜98年と長きにわたって国を率いたコール氏の遺産を引き継ぐかどうかで、ドイツはいま岐路に立たされている。

コール氏にとってドイツとは、戦争責任を負いながらも、欧州で中心的な役割を担わなければならない国だった。そのようなドイツが手前勝手に振る舞うことは絶対に許されないと同氏は考えた。

だが、2015年秋に移民・難民危機が発生して以来、「欧州の中のドイツ」という同氏のビジョンには逆風が吹いている。ドイツのメルケル首相は欧州連合(EU)加盟国が協調して問題に対処するよう強く訴えてきた。ドイツが利己的な行動に出れば、犠牲になるのはほかのEU加盟国だからだ。が、ドイツでは単独行動を求める声が鳴り響いている。

ドイツを悩ませている難民問題は、一見すると亡命希望者をほかのEU加盟国に追い返すかどうかをめぐる争いのように映る。だが、本質的に見れば、これはドイツが欧州の一員として行動するのか、それともわが道を歩むのかという、国の基本方針にかかわる問題だ。

実際、難民問題はドイツという国の根幹をめぐる戦いへと発展している。昨年9月、移民排斥を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」が、極右政党として約60年ぶりに連邦議会に進出。今や野党第一党となったAfDのプレッシャーから、連立与党の一角を成すキリスト教社会同盟(CSU)が右旋回を加速させる事態となっている。10月に地元バイエルン州での地方選挙を控えるCSUは、極右政党に票が流れるのを恐れている。

これはドイツだけの現象ではない。欧州全域を覆うトレンドだ。イタリアやオーストリアなど各国で、排外主義を掲げるポピュリスト政党が大躍進を遂げている。

こうしたポピュリスト政党の主張を耳にした者は、難民や移民が、何のチェックも受けることもなく欧州になだれ込んでいると思うかもしれない。だが、現実は違う。シリアからの亡命希望者がドイツやスウェーデンを目指して15〜16年に通ったバルカン半島ルートは、今や事実上封鎖されている。EUからの資金援助と引き換えに、トルコが難民引き留めに合意したからだ。北アフリカから地中海を渡って欧州にやってくる難民の数も、ここ1年で激減した。

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