10月9日、日本経済団体連合会(経団連)は、面接開始時期などを定めた採用選考に関する指針を2021年春採用から廃止すると発表した。中西宏明会長が廃止の方針を打ち出した際、大学や中小企業は大きく反発し、政府も同年春の新卒採用については今のルールを守るように要請しているという報道がなされていた。
そもそも経団連の指針には強制力はない。経団連傘下にない企業への影響力も限定的だ。さらにインターンシップによって実質的に採用活動を行っている企業も少なくない。そうした状況に加えて、今日のような圧倒的な売り手市場においては、律義に就活ルールを守った企業が採用で相当な不利を被る事態になっている。
「抜け駆け」のメリットが大きくなると紳士協定は破られるのが常だ。経団連の指針廃止は、あらためて新卒採用の制度的な問題点をあぶり出したと言える。
現行ルールを徹底させることはそれほど難しくない。政府は法令によっていつでも企業活動を縛ることができるからだ。しかし、本当に問われるべきは、現在の新卒採用のあり方が今後の日本社会にとってベストなのか、ほかに取りうるべき道はないかということだろう。筆者の私見を述べてみたい。
現在の新卒採用は、まっさらな素材の「青田買い」あるいは「囲い込み」という性格が強すぎるように筆者は感じている。企業は大学の「銘柄」を見たうえで、面接を通じて地頭がよく協調性のある人材を採用し、社内教育によって自社の色に染め上げようとする。
大学での教育は文系の場合、ほとんど重視されない。アルバイトやスポーツなどをやっていたほうがよいと公言する採用担当者すらいる。大学側もどのように学生を育てて社会に送り出すかについて、無頓着な傾向が強い。それがさらに企業の大学教育への無関心と過度な青田買いを引き起こすという悪循環を招いている。キャリアを自ら切り開いていくバイタリティのある人材が、こうした状況下で十分に育つのかは疑問だ。
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