「中長期の採算性を度外視した低金利貸出を拡大している」「実現可能性のある収益計画を策定していない」──。今年7月に金融庁が発表した「地域銀行モニタリング結果とりまとめ」は、今の地方銀行が抱える課題をあらためて厳しく指摘するものだった(記事下表)。
異例の3年を務めた森信親・前金融庁長官は、「横並びの量的拡大競争には限界がきている」と強調してきたが、現実には、多くの地銀が従来の手法から脱却できないでいる。一方、個人ローンに特化する事業に舵を切り、別格とされてきたスルガ銀行の実態は不正まみれだった(→関連記事へ)。
慢性ストレスに加え急性ショックで苦境に
長らく続く貸出金利の低下から、銀行収益の中核である資金利益(預金・貸し出し、有価証券利息などの収支)は右肩下がりだ。日本銀行は地域金融機関の収益を下押しする要因を「慢性ストレス」と名付け、全国ほぼすべてのエリアで起きている人口と企業数の継続的な減少を挙げている。今後もこの二つのストレスが消えることはなく、銀行にとって厳しい事業環境は続く。
そこに「急性ショック」を加えて、金融機関を一気に苦境に追い込んだのは日銀である。2013年に就任した黒田東彦総裁は、2年で2%の物価上昇を目指して、国債を大量に買い入れる異次元緩和に踏み切った。物価目標が一向に達成できない中、今度は16年のマイナス金利政策で市場金利を一段と押し下げた。これで、銀行は預金の一部を市場運用で稼ぐ道も閉ざされた。
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