「バカだったと思います。あのとき、どうしてあんなに優柔不断になってしまったのか。信賞必罰ですよね、普通にやればよかっただけの話なんです……」
30代の若者と話をした。彼は、以前勤務していた会社での出来事を思い起こし、反省していた。
彼の働いていた会社の課長が緊急入院し、2カ月の間、その仕事を引き継ぐことになったという。彼が課長代理になると、かつての同僚で、その期間だけ部下となった女性に遅刻が目立ち始め、そのうちほぼ毎日遅刻するようになってしまった。
とはいえ、ほんの2〜3分の遅刻なので、しゃくし定規に社則どおりの処分をすべきか迷った。それに、彼女の出してくる企画書は非常に斬新で採用されることが多い。会社の中でも一目置かれる存在で、課としても傷つけたくない人材だったから、彼は、口頭による注意で済ましていた。
仕事の内容はいつもすばらしい出来なので、彼女の社内での評価は上がっていた。けれども、遅刻に関しては彼が何度注意しても変わることがなく、ほぼ毎日遅れて来る。社内での高評価をいいことに、そこにあぐらをかいて、直そうとすらしてないように見えたそうだ。
裁量と判断のバランス
そんなことをしているうちに2カ月が過ぎ、入院していた課長が戻ってきた。悪い癖がついてしまた彼女は遅刻を続け、課長によって社則どおりに処分された。それがきっかけか、以後、彼女の仕事のクオリティが落ちた。遅刻はしないが、仕事の内容もごく普通のどこにでもいる社員レベルになってしまったという。
「信賞必罰」の意味するところは、功績のある者には必ず賞を与え、罰すべき者は必ず罰するということだ。賞罰の与え方については言及していない。当たり前である。その部分は非常にデリケートで、上司が大いに知恵を使うべき部分だからである。
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