静岡県伊東市に移住して1年が過ぎた。居を移したのは、知的・発達障害のある子たちが通う施設で療育のお手伝いをするためであった。今回、この施設で「児童発達支援」を拡張することになり、それにもかかわることにした。
児童発達支援とは、障害のある未就学児に日常生活の基本動作などを習得させて集団生活に適応できるようにすることである。
私は子どもが大の苦手で、1年かけてようやく人並みに接することができるようになってきた。だが今度は、未就学児の支援というさらに苦手な領域に身を置くことになった。しかも私とは真逆で、運動があまり得意ではない子どもたちとのやり取りである。毎日戸惑うことばかりだ。
ところが面白いもので、今までは駅や空港に子どもがいても、興味も用事もないので、意識の対象外だったのだが、最近は気づくと子どもを見ていることがある。
先日も空港で、やっと立てるようになった赤ん坊がベンチをつかんで歩きだそうとしているのに目が行った。今にも転びそうだったが、頭から倒れるわけではないし、床は平らだし、どう考えてもケガをするわけはないので何の気なしに見ていた。気づくと私は、必死にバランスを取って、一歩一歩進んでいく赤ん坊の姿に見入っているのだった。
その子は、数歩進んだところでついにバランスを崩し、その場に尻もちをついて泣きだしてしまった。すると、30代くらいの父親と思われる男性が駆け寄って「どったの? どったの?」と私なら決して使わない言葉を発しながらその子を抱き上げた。
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