ドイツは経常収支の黒字が名目GDP(国内総生産)比8%もある経済大国の優等生だ。それが、今年3月のアンゲラ・メルケル政権4期目入りから、どこかちぐはぐになっており、今や病にかかりそうだ。問題を列挙する。
第一に、連立政権の不安定さである。与党間の移民政策に関する見解の相違から、6月末には連立崩壊の危機に瀕した。メルケル首相のCDU(キリスト教民主同盟)は比較的鷹揚な移民政策を取るが、その姉妹政党であるCSU(バイエルン州のキリスト教社会同盟)の見解は厳格だ。CSUのホルスト・ゼーホーファー党首(現内務相)は「ほかのEU(欧州連合)加盟国ですでに審査を受けた難民がドイツに移動することを拒否し、国境で送り返す命令をバイエルン州において発動する」という要求をメルケル首相に突き付けた。
首相は、ゼーホーファー氏と協議の末、問題に厳格に対処し、そうした移民を送還することで合意し、内務相は閣内に残ることとなった。当面の衝突は回避したものの、首相が譲歩を余儀なくされたこと、与党内にポピュリズムが芽生えたことなど、先行きに問題を残した。
一方で、難民問題をめぐってはEU首脳会議声明の草案を策定する会議を、ポーランドとハンガリーが欠席するなど、現状では数カ国による暫定的措置の導入しか見込めない。
第二に、安定していたドイツ経済に陰りの出るリスクが高まっている。特に米国による保護貿易促進の一環で、影響を受ける可能性が高いのはドイツかもしれない。仮に各国が相互に関税を10%引き上げた場合、世界のGDPの押し下げ効果は2.5%程度だが、ドイツは同3.8%の下押しが危ぶまれる。さらに、6月22日、トランプ米大統領はEUが米国企業に対する貿易障壁を取り除かない場合には、EUからの自動車輸入に20%(当初の計画では25%)の関税を課すことを示唆しており、自動車産業への影響も予想される。米国商務省による調査結果は最長で270日以内に提出する必要があり、大統領にはその結果について判断するうえで90日の猶予があるが、遅くとも2019年5月には発動される可能性がある。
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