女性の可能性をフルに引き出そうとしないのは、片方の腕を使わずに戦いに挑むようなものだ。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが行った調査によれば、男女平等を促進するだけで、アジア太平洋諸国のGDP(国内総生産)は2025年までに全体で年間4.5兆ドル(約500兆円)も拡大する。これは、ドイツとオーストリアを足し合わせたのと同じ規模の経済を毎年生み出すのに等しい。
だが、男女平等を実現するには、職場の取り組みだけでは不十分だ。「家を守り、家事を担うのが女性の本分である」といった考え方がアジア太平洋地域には今も根強く残っている。その結果、女性は起業したり事業を拡張したりしようにも融資を断られる、スキルを向上させようにも研修が受けられない、といった諸問題に直面している。
アジア太平洋地域の国や企業にとって、改革のポイントになるのは次の五つだ。
一つ目は、女性による労働の質を引き上げること。女性は人口の半分を占めているが、アジア太平洋地域における女性のGDP貢献度は36%止まり。もちろん、家事をはじめとする無償労働はGDPにカウントされない。女性が行っている無償労働の量は世界的には男性の3倍だが、アジア太平洋地域ではその差は4倍に広がる。
対策はいくつかある。たとえば、より柔軟な勤務形態を導入したり、利用可能な保育施設を増やしたり、STEM(科学・技術・工学・数学)分野を中心に職業訓練を拡大したりしていくことは可能だ。
二つ目は、経営層における男女格差の解消だ。男性管理職の数を100とした場合、女性管理職の数は40にも届かない──。これが世界の現実だが、アジア太平洋地域になると、女性管理職の数は25近くまで低下する。
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