北朝鮮の軍事的脅威や、「憲法に自衛隊を明記」という安倍晋三政権の改憲への意欲も重なり、防衛省・自衛隊の存在感は高まっている。脅威に備えて最新鋭の高価な装備を今後も購入する方針で、防衛予算はじわじわと上昇中だ。

その一方で、防衛省・自衛隊への信頼は失墜している。代表例が「日報事件」だ。2012〜17年にPKO(国連平和維持活動)で南スーダンへ派遣された自衛隊員が作成する日報について情報公開請求がなされ、その対応において不適切、かつ組織的な文書廃棄や隠蔽がなされた。
この責任をとって稲田朋美防衛相は辞任。後任の小野寺五典氏は今年4月、「自衛隊が国民の信頼を回復するために今自分が何をすべきか強く自問してほしい」と全国の隊員に特別訓示まで出して再発防止を誓った。だが直後に「存在しない」とされていた03〜09年のイラク派遣時の日報の存在が確認され、その存在が直ちに上部に報告されなかったことが判明。根強い隠蔽体質があらわになった。
派遣までの条件が厳しい海外派遣の正当性を証明する重要な資料が日報だ。これがなければ現場で隊員が何をしたのか、また今後の派遣判断の根拠や現地での対応ノウハウが蓄積されない。帰国後に自殺した隊員もいるだけに、当時の状況把握は極めて重要だ。
また、派遣を決定した理由や条件と現地の状況が食い違い、現場では整合性のとれない行動を強いられた可能性もある。にもかかわらず、日報の不適切な廃棄が行われた。情報管理が甘く、防衛相や統合幕僚会議議長などトップへの報告もなされなかった。現場の勝手な判断がまかり通るという、組織の指揮系統と文民統制を揺るがす一大事といえる。
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