現場経験ゼロも問題ない 技術者と経営者は異なる
社長就任を打診されたのは今年の2月中旬。その際、「事務系の自分に務まるだろうか」という不安はあった。だが取締役会で議論される内容は、技術ではなく経営に関する話。土木や建築、事務といった出身にこだわらない議論が重要だ。技術的な説明が必要なら、担当者が逐次説明をすれば問題ない。技術者と経営者は違うスキルが求められる。
人事や企画など、経営の中枢に近い部門を渡り歩いてきた。経営者の考えは、現場一筋でいるよりも理解しているつもりだ。若くして役員の職を拝命し、経営の議論に長く参加してきた自負もある。
昨年発足した中期経営計画の策定プロジェクトで、前社長から「未来の計画を考えろ」と指示が下った。担当者9人の中に土木担当、建築担当、私を含む3人の専務がいた。そのときは、ひょっとしたらこの3人から次の経営者が生まれるのか、と感じていた。
──入社直後から建設現場ではなく管理部門配属だったのですか。
実は、熊谷組野球部での練習がもっぱらだった。当時の仕事といえば自動販売機にたばこを補充するくらい。朝10時には仕事を切り上げ、野球の練習に明け暮れる日々だった。結局プロ級の同僚に歯が立たず、半年で身を引いた。その後は品質管理や海外工事の営業などを経て、バブル崩壊後は本社の人事課長として新卒採用と社員への退職勧告を同時にこなした。結局、建設現場で事務作業を手掛けることはなかった。
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