株式市場ではボラティリティ(価格変動率)の上昇が投資テーマに浮上してきている。米国で株式市場のボラティリティを測る代表的な指数はVIX(別称:恐怖指数)である。これは、米国のS&P500種株価指数のオプション取引の価格を基に、今後30日間で市場価格がどの程度変化するかという、予想価格変動率を指数化したものだ。
VIXは近年低下傾向にあり、2017年半ば以降は10程度の歴史的低水準を維持してきた。その間は、ボラティリティの動きと逆相関で、その低下によって高い収益率を得られる商品が注目を集めた。それがVIX連動型(インバース)ETN(指標連動証券)などである。VIXが10〜15といった低い水準にあると、その価格は上昇を続け、投資家はかなり高い収益率を上げることができた。
ところが今年2月に株価が急落すると、VIXの水準は一時40近くと、リーマンショック時の半分程度まで一気に上昇した。それでも、ボラティリティの上昇は一時的、との見方をする投資家は少なくなかった。実際、急上昇したVIXは、比較的短期間のうちに落ち着きを取り戻していった。
しかし急上昇から3カ月近くが経過した現時点でも、その水準は15〜20のレンジで推移している。再び17年後半の10程度の水準にまで下がる兆候は見られない。
VIXが作られた1993年以来の平均水準が20程度であることから、市場のボラティリティは17年後半の異常に低い状況から通常の姿に戻ったのだとの見方が、投資家の間でしだいに支持されてきている。昨年には前述のVIX連動型(インバース)ETN、あるいは高いボラティリティに期待して仮想通貨などに投資が傾斜していった。ところが、ボラティリティが通常の姿に戻ってきたとの認識から、投資家は再び株式、債券など伝統的なアセットクラスに目を向けている可能性がある。これは、当面の株価の安定には貢献することになるだろう。
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