長野県は八つの県に囲まれた、東西128キロメートル、南北220キロメートルに及ぶ広大な県である。
現代では「信州」とも称されるが、江戸時代には「信濃国」と呼ばれた。一口に信濃国といっても北信、中信、東信、南信の4エリアに分かれ、おのおのの環境や文化には大きな違いがあるという。
私の知人の長野県出身者によると、この4エリアの人たちはかつての信濃国という名の下に強い結束を示すそうだ。どんなに議論が対立しても、最後は肩を組んで県歌の「信濃の国」を歌って仲直りするという。各エリアを代表する街には、北信の長野市、東信の上田市、南信の諏訪市、そして中信の松本市がある。
松本市は面積978平方キロメートル、人口は長野県内の市町村で2位の約24万人(2018年4月時点)を擁する街だ。県庁所在地こそ北信の長野市に譲るが、信州大学の本部や日本銀行の支店、信州まつもと空港や陸上自衛隊の駐屯地を抱えており、地政学的にも長野県内では重要な街である。
登山が外国人客にも人気
そんな松本は「三ガク都」と呼ばれており、音楽の「楽都」、山岳の「岳都」、学問の「学都」という三つの「ガク」が売りである。
楽都としての代表的なイベントには、世界的指揮者の小澤征爾氏が総監督を務め、毎夏開催している「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」がある。
同フェスティバルは1992年に小澤氏が自身の恩師である故・齋藤秀雄氏の名前を冠して開催した「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」が前身。小澤氏が作り上げたクラシック音楽の祭典であることをアピールするために、15年に現状の名称に変更し、結果として大勢の観客を呼び込んだ経緯がある。
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