昨年4月、米国のHFT(高頻度取引)業界に衝撃が走った。HFT最大手のバーチュ・フィナンシャルが同業のKCGホールディングスを買収すると発表したのだ(買収金額14億ドル、同年7月実施)。HFT業者の収益が軒並み低迷する中、業界を代表する上場2社の統合となった。
バーチュは2015年4月に上場する際、過去1278日のトレーディングのうち損失を計上したのはたった1日と公表し、高速取引の無敵ぶりを誇示した。KCGもバーチュと覇を争うHFT大手ゲッコーを傘下に置く有名企業だ。
ところが、彼らのトレーディング収益は減少が続いている(下図はバーチュ)。16年後半以降、市場のボラティリティ(価格変動)が小さくなり、収益機会が減ったことに加え、同様の投資戦略を展開するHFT業者が増加し競争が激化したことが要因とされている。

HFTの主な投資戦略はマーケットメイク。典型的な手法は次のようなものだ。
たとえば五つの市場があったとする。ある銘柄の最良買い気配値がA市場で30ドルのとき、HFT業者は別の4市場で29ドルの買い気配値(指し値注文)を提示し、どこか一つの市場で29ドルの買いが約定すれば、即座にほかの3市場での注文を取り消し、A市場で30ドルで売って1ドルの利益を稼ぐ。
同様の取引は売りサイドでも可能。こうした薄利多売の取引が同時並行で何千という銘柄で行われているイメージだ。注文や取り消しの一瞬の遅れが損失につながるので、遅延を最小化した高速通信が活用される意味もわかる。欧米のように市場が多数に分散していたほうが、HFTの収益機会は増える。
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