やがて幕を閉じようとしている平成時代の経済政策は、試行錯誤と実験の連続だった。
日本経済の行く手にはバブルの崩壊と不良債権問題、アジア通貨危機と日本の金融危機、デフレの進行、人口減少社会への突入など、これまで経験したことのない難しい課題が次々に現れてきた。
そして、お手本のないこれら諸課題に対しては、どうしても試行錯誤的な対応にならざるをえなかった。しかし残念ながら、こうした試行錯誤と実験は成功したとはいえない。1990年代には巨額の公共事業が執行されたが、経済が自律的成長軌道に乗ることはなかった。不良債権処理は遅れに遅れ、結局は莫大な財政資金を必要とした。金融政策は、デフレからの脱却を目指して異次元緩和やマイナス金利政策など、冒険的ともいえる実験的金融政策が採られたが、今に至るまで想定したような効果は発揮されていない。
私は、こうした流れは今後も続き、次の実験の舞台は財政になると考えている。その理由は第一に、オーソドックスな財政再建策を採ろうという動きがまったく見られないことだ。消費税率を最低20%程度まで引き上げる必要がありそうだが、10%への引き上げさえ遅々として進まない。そればかりか逆に、軽減税率を設けたり、財政再建に回す予定の分を子育て支援などに振り向けてしまうありさまだ。
第二に、今後財政の状況はさらに厳しくなる。特に、2025年前後になると、団塊世代が一斉に後期高齢者になる一方、生産年齢人口は減り続ける。すると、年金や医療などの社会保障関係費の増加が歳出増要因となり、勤労者・企業の社会保険料負担はさらに高まる。政府は、18年に新たな財政再建の見通しを明らかにするとしているが、信頼性の高い再建計画を打ち出すことは難しそうだ。
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