PART1 大都市|郊外から始まる没落カウントダウン
2020年代は「地価崩壊時代」へ
つかの間の地価上昇はやがて終焉を迎える
1億2808万人をピークに人口減少が進む日本。その余波は、財政や医療・福祉だけでなく不動産にも押し寄せる。
9月19日に発表された2017年の基準地価(7月1日時点)は、東京や愛知、福岡など大都市のある都県では商業地・住宅地ともに前年比プラスだった一方、38の道府県で住宅地の下落が続いた。下落幅が最も大きかったのは人口減少率が全国トップの秋田県。大都市圏とそれ以外の地方の、地価の二極化が表面化している。
地方衰退に次いで襲ってくるのは、大都市郊外のベッドタウンの没落である。駅至近のマンションの人気が高まるなど、居住の都市回帰が進む一方で、都市近郊の住宅地では、空き家問題が年々深刻になっている。
生産緑地の放出や土地相続急増が打撃
人口減が不動産の需要を冷やすと同時に、供給をあふれさせる要素もこれから続出する。
代表格が「2022年問題」といわれる、生産緑地の放出だ。1992年に施行された改正生産緑地法の下、生産緑地の指定を受けた都市部の農地は、農業継続を条件に、固定資産税などの減額措置を受けてきた。東京、名古屋、大阪の3大都市圏を中心に、総面積は約1万ヘクタール以上に及ぶ。その生産緑地の8割が22年、指定期間である30年の期限を迎えるのだ。
農業の後継者不足が進む中、指定を解除された生産緑地は宅地となって市場に出回ることが予想される。戸建てやアパートが大量に供給されれば、「周辺の不動産価格や賃料の下落は避けられない」(さくら事務所の長嶋修会長)。
さらに25年に入ると、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となる。そして大量の土地相続が発生する。「3年以内での売却が有利になるという税制もあり、都市部でも土地相続の急増が地価の下落圧力になる」と、日本大学の清水千弘教授は指摘する。
始まった街の衰退に危機感を抱く市町村は、コンパクトシティに向けた動きを加速させる。国土交通省が旗振り役となって、自治体は住宅などの開発を進める地域と、それ以外の地域とを色分けする「立地適正化計画」の策定を進めている。計画の実効性がどこまであるかは不透明だが、その流れは確かに街の不動産格差をさらに拡大させる一因となる。
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