「ない? ザックが丸ごとない!」。タンザニアのザンジバル島のローカルバスに乗り込んですぐのことだった。
今年の夏休みはタンザニアで過ごした。エチオピア航空の航空券キリマンジャロ行きが極端に安かったからだ。ザンジバル島最北端のヌングイビーチはエメラルドグリーンの色がとりわけ美しく、ホテルを出発する間際に何度も振り返った。
ヌングイからザンジバル島の中心部で世界文化遺産であるストーンタウンまでは約2時間。タクシーなら5000円弱かかるが、すし詰めの乗り合いバスなら100円。けちったのが敗因か……。
最後尾の窓側に座っていて隣は妻。足元に置いた荷物が盗られることは物理的にありえない。ならば車中を移動中に盗まれたのか。乗客にも協力してもらいバスの中を探したが、出るわけもなく、降車。とぼとぼと地元の警察署へ向かう。
手元に残ったのはスマートフォンと財布、帽子のみ。警察署で妻の充電コードで充電しつつ、大使館やカード会社に電話しながら盗難証明書ができ上がるのを待つ。
日本人がパスポートを紛失した場合の再発行の選択肢は三つある。
1.帰国のための渡航書(ほかの国を経由できず、日本に帰国するためだけに使用。2500円程度)。
2.緊急旅券(ICチップがないので米国に行く場合はビザ取得が必要となる以外は、通常の旅券と同様。1年間有効。5500円程度)。
3.通常の旅券。日本から発送するため約2週間を要するとのことで、この選択肢は選べない。
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