前号で触れたとおり、ドーハのファーストクラスラウンジを堪能した後、カタール航空でエジプトのアレクサンドリアへ飛んだ。
目指すはアレクサンドリアから西に240キロメートルの地中海沿いの町、マルサ・マトルーフ。空港からバスターミナルまでタクシーで向かい、そこから長距離バスで移動すると、約60キロメートルを無駄に往復することになる。そこで空港から幹線道路の分岐点までタクシーに乗り、ヒッチハイクすることにした。
学生の頃は、国内外を問わずヒッチハイクをしたものだ。しかし40代になって、路上で手を挙げることになろうとは。しかもファーストクラス利用直後に……。
手を挙げること10分余り。気づくと大型トレーラーが路肩にはみ出して止まっている。ドライバーは同年代の男性、助手席には若い男の子。2人とも英語は解さないが、人のよさそうな顔でたばこをふかし続ける。
エル・アラメインが近づくと、右手に地中海が見え隠れするようになった。海岸沿いには集合住宅が連なり、建設工事が急ピッチで進む。エジプトのニュースといえばテロ関連ばかりが目立ち、こうした様子は日本にはまず届かない。
エル・アラメインといえば、第2次世界大戦の北アフリカ戦線での激戦地として知られる。大戦の戦局に大きな影響を与えた1942年の戦闘では、ドイツのロンメル元帥が率いる枢軸軍と米国からの大量の武器援助を得た英国を中心とした連合軍が激突した。死傷者・行方不明者・捕虜の総数は4万4000人以上に及んだが、そのことを知らなければ砂漠にある小さな村にしか見えない。
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