来る6月の株主総会では役員報酬改定案が目白押しとなりそうである。そこでは、2015年6月に施行されたコーポレートガバナンス・コード(以下、CGC)が役員報酬を一部自社株で支給する米国方式を暗に推奨しており、企業側の対応が見どころとなっている。以下では争点を二つ挙げておきたい。
第1の争点は、純利益に責任を負う経営陣が、その先の株価形成にまで責任を負うべきか否かである。株価はマクロ経済指標に左右されるのが常で、だからこそ企業がプレスリリースを出さない日にも上下する。その変動分をリスクとして負うべきは株主、という見方も十分に成立する。
この点については日米間の相違が目立つ。日本では株式の多くが塩漬けとなっており、外国人投資家が株価形成を主導することから、為替レートの変動に株価が敏感に反応する。株価指数の年次騰落率を年初始値ベースで計算してみると、ダウ平均株価は1986年以降プラスマイナス33%の範囲に収まるが、日経平均株価は上限がプラス50%、下限はマイナス40%を超えている。リーマンショックと重なる08年を除外すると、米国の下落率は17%までに収まるが、その水準を超えて下落した年が日本では7年もある。
経営努力と必ずしも連動しない自社株報酬は、日本で経営陣を奮い立たせる効果を持つのか、極めて疑わしい。米国においてすら、自社株報酬のインセンティブ効果には疑ってかかる余地がある。
米国の株価指数は年率8%のペースで上昇しており、一定期間換金できない株式報酬は株主の懐を痛める以上に経営陣の懐を潤わせてきた。ゆえに株主は増額を厭わず、それが経営陣を奮い立たせた面も否定できない。日本では、株価指数が年率2%で下落しており、同じ他力の効果を期待できないゆえに、自社株報酬は逆効果に終わるおそれがある。
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