米トランプ政権は4月6日夜(日本時間7日午前)、シリアのシャイラト空軍基地を巡航ミサイル59発で攻撃し、米国の力の外交回帰を内外に強く印象づけた。
これはシリアのアサド政権が4日に反体制派支配地のイドリブを空爆した際、化学兵器を使って市民を殺傷したことへの対抗措置である、とトランプ大統領は力説。安倍晋三首相は「化学兵器の拡散と使用は許さないとの米国の決意を支持する」と語った。
シリアでは「アラブの春」の影響を受け2011年から、強権的なアサド政権(ロシアが後ろ盾)に対する反体制派(米国が支援)の活動が激化。その間隙を縫って14年ごろから「イスラム国」(IS)が浸透、北部のラッカを「首都」とした。他の過激派やクルド人勢力も台頭してシリアは四分五裂の状態に陥り、市民の4分の1が難民となる異常事態となった。
ただ、昨年ごろからロシアがアサド政権への本格的なテコ入れに乗り出し、昨年末にはロシアとトルコの仲介で政府軍と反体制派の間で停戦が発効した。アサド政権が安定したのを見たトランプ大統領は、ロシアと連携してまずはISの掃討を図り、中東の安定を目指すかに見えた。
ISが「漁夫の利」
今回の攻撃はそこからの明らかな方針転換である。当然のことではあるが、ロシアは激しく反発している。米国は何を狙っているのか。論点を整理してみよう。
まず攻撃の正当性。シリアは化学兵器禁止条約に加盟しており、本当に化学兵器を使用したのであれば非難されてしかるべきだ。ただ具体的な証拠を国連安全保障理事会に提示するなどの手続きを踏むことなく武力行使に踏み切ったことは強引すぎる。
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