わが国におけるネット生命保険の先駆けとなった、ライフネット生命保険の出口治明氏がこの6月をもって会長職を退く。
既存の生保大手にはない、安価な保険料とシンプルな商品を提案し、2008年の開業当初、消費者の高い支持を集めた。しかし、ここ数年の伸び率は停滞ぎみだ。退任の意図と今後のネット生保の課題について、出口氏に聞いた。
──なぜ今、退任するのか。
この4月に69歳になる。同時に30代の新任役員二人を登用する。二人の年齢を足すとほぼ僕の年齢。古稀の人間が一人退き、これからどんどん脂が乗っていく30代の人間二人に託すほうが、「この会社は楽しみだな」とライフネットに加入される皆さんも安心する。
──業績は伸び悩んでいる。
生命保険はものすごく息の長いビジネスだ。マラソンでいえば、今は400メートルのトラックを走り終えて一般道に出たくらい。2社から始まったネット生保は10社まで増えた。消費者へのアンケート調査を見ても、将来ネット経由で加入したいという消費者が約1割いる。国内生保の保険料収入が約40兆円で、1割でも4兆円。ネット生保は現状200億〜300億円だが、いずれ数兆円単位のマーケットになると確信している。
──最近はネットだけでなく、対面チャネルも重視している。
保険会社の理念は、よい保険をわかりやすく、安く届けることがすべて。自らネット専業と規定する必要はまったくない。リスクとリターンを考え、面白い販路があれば、どんどんチャレンジしていくべきだ。
「ライフネット・フー?」と尋ねられれば、僕は「チャレンジ」だと答える。大手生保で30代の取締役はおそらくいない。少子高齢化といわれているが、どんな社会でも若い人しか次の時代を作れない。
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