ファーストリテイリング8割、楽天3割、ソニー3割、日立1割──。2012年春に、各社が新卒社員の外国人比率を引き上げる、との報道は大学生に衝撃を与えた。最近では、就職に有利な「グローバル人材」になるため、いっそ日本の大学ではなく、米国など海外の大学に進学しようと準備する高校生も増えているほどだ。
実際、就職予備校「我究館」の経営母体、ジャパンビジネスラボが経営する英語スクール「プレゼンス」には、「付属で大学に行けるはずの慶応義塾高校生が、米国のトップ大学進学を視野に、多数通っている」(同社の杉村太郎CEO)という。
米国の大学もピンキリ
でははたして、日本の大学を袖にして、米国などの海外大学に留学するほうが、就職に有利なのだろうか?
人材紹介会社ムービン・ストラテジック・キャリアの神川貴実彦社長は「日本企業への就職という点では、海外にいるのは不利」と断言する。「日本では就活が一斉に始まる。9月卒業の海外組に合わせた秋採用を行う企業もあるが、コストがかさむため、手控える場合も多い。また、同じグローバル採用なら、日本人の留学生よりハングリー精神とガッツがある外国人を採ったほうがいい、と考える企業も多い」。
ここ10年、日本企業や日本に拠点を持つ外資系企業は、米国留学生約5000人と200社が一堂に介す「ボストンキャリアフォーラム」に参加している。だが、人事コンサルティング会社クオリティ・オブ・ライフの常見陽平・チーフプランナーによると、フォーラムでは、一部の学生に内定が集中する傾向があるうえ、日本企業に就職を希望する米国人の学生も来るため、競争は激しいという。
それに、一口に米国の大学といっても、米国には約4500もの大学がありピンキリ。「州立大学以下の大学生は、日本の大学生よりレベルが低いというのが実情」(杉村氏)。とはいえ、よっぽど優秀でないかぎり、トップスクール進学は非現実的。仮に“隠れた優秀大学”に進学したとしても、「日本企業の多くは人事担当者が3年おきに替わるため知識が浅く、そのありがたみが伝わらない可能性も高い」(常見氏)。米国で現地企業への就職を目指す場合も、よほどの実力者でないかぎり、就労ビザ取得を支援してもらえない。
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