ガンは自覚症状が出てからでは、残念ながら半分の人しか治りません。新薬が開発されていますがいずれも非常に高価。しかも生存期間が延びるだけで、なかなか治癒に結びつかないのが実状です。
しかし、検診で早期に発見でき適切な治療ができれば、大部分が治ってしまいます。おカネをかけずに死亡者数を減らすには、(食習慣や禁煙などの)1次予防と、検診の実施がいちばん有効だといえます。
私自身も2年前に検診で腎臓ガンが見つかりましたが、部分切除で片側の腎臓4分の1を取っただけで済みました。1週間で退院して、2週目にはスイスで開催されたWHOの会議に出席することができました。
今や早期ガンなら、すぐに社会復帰できます。胃の粘膜ガンで内視鏡手術の場合、仕事を休まずに済むこともあります。しかし、もっと進行した状態で見つかると、治療には時間とおカネがかかる。働き盛りの世代が、長い治療の後に死を迎えるというのは、社会的な損失も非常に大きいものです。
日本では、自治体が費用を負担する行政検診が、胃ガン、子宮ガン、大腸ガン、乳ガン、肺ガンの五つのガンで行われていますが、それでもこの五つで年16万人が亡くなっている。ところが行政検診の平均受診率は17%しかありません。さらに、行政検診の費用が一般財源化されたため、財政の厳しい市町村では安いが質の悪い検診を行うことがあります。こうした検診では、ガンが見落とされてしまう問題も生じています。
ガンの1次予防では、食塩が重要因子です。胃ガンが減ってきたのは塩分の多い食事を摂らなくなったためです。胃ガンに関与するヘリコバクター・ピロリという細菌感染も、生活環境が改善して減っています。
この記事は有料会員限定です
残り 631文字
