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トランプ相場に危機感、中国の歴史的な事情 資本の海外流出止まらず元安に歯止めなし

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  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

トランプ米国大統領がついに就任した。その放埒(ほうらつ)な発言から暴言王とまでいわれ、諸方面に不安・懸念をひきおこした。当選して少しはおとなしくなるかと思いきや、ボルテージは一向に下がらず、日本も官民あげて右往左往、まだまだ安心はできない。

なかんずく焦慮を隠せなくなってきたのは、中国である。トランプが台湾の蔡英文総統と電話会談し「一つの中国」に縛られない、と発言したのは記憶に新しい。前政権とは打って変わった姿勢である。中国側も2016年末、空母を西太平洋に進出させるなど、にわかに軍事的な行動に出て、牽制をはじめた。ただでは済まない見通しである。

そうした政治的軍事的な中米関係の帰趨は、おいおい明瞭になってこよう。しかしこれに先だって、すでに進行中の事態がある。

彼が大統領選に勝利してから、世界の金融市場では期せずして、いわゆるトランプ相場が起こった。米国では連日更新の株高で、米連邦準備制度理事会(FRB)も16年12月に約1年ぶりの利上げに踏み切っている。その余沢で、日本もにわかに円安株高に転じた。日本人がかつて抱いた強い危惧は、ほのかな期待にかわりつつある。

中国は逆に、当局がいよいよ危機感を強めざるをえなくなった。資本の海外流出がやまないからである。米国がかねて利上げをちらつかせてきたのも、中国資本の誘引が狙いの一つ。対立する中国を牽制する意味もあった。16年11月までの12カ月で、計1兆ドル(約114兆円)の規模に及ぶという。大統領選前から顕著になっていた資本の流出は、米国の利上げ実施でいっそう加速した。

こうした資金流出は、外国為替市場での人民元売りをともない、元相場を急落させる。中国の銀行はこぞって資金の国外持ち出し制限を強化したものの、歯止めがかからない。元安圧力も増したから、中国人民銀行は外貨準備を取り崩し、人民元買いドル売りの為替介入を繰り返している。世界一を誇る中国の外貨準備高は、11月末で前月比690億ドル(約7.9兆円)減の3兆0515億ドル(約349兆円)で、遠からず3兆ドルを割りこむという観測も出てきた。これは為替介入のみならず、輸出の不振や外国企業の投資減速で、外貨の獲得が減っていることにもよる。

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