次年度予算の政府原案が閣議決定される日は、財務省4階の会議室で有識者への予算説明会が開かれる。主計局次長を筆頭に、予算編成に携わる幹部が並び、反対側には大学教授や民間シンクタンクのエコノミストが顔をそろえる。そういえば今回は、『週刊東洋経済』の編集長もいらしたような。
この会には何度も呼んでもらっているが、そのたびに人間模様が面白い。著名な経済学者が、諸君はこんな予算でいいのかと現場を叱咤したかと思えば、財務省OBの研究者が、税の問題で極度に専門的な質問をして現場を困らせることもある。民間エコノミストたちは、なるべく「通」な質問をして仲間内の評判を高めようと知恵を絞る。
質疑応答の過程で、新聞報道が否定されることは珍しくない。驚くような回答が得られたり、「なるほど、そういうことだったのか」と感心させられたりすることも多い。
今回の予算では、国債の想定金利を過去最低の1.1%と見積もっている。この数字はどうやって決めたかといえば、「過去に長期金利が短期間で1.1%上がったことがある」から。日本銀行は長期金利をゼロ%に誘導すると言っているが、バッファとして1.1%を足すのだそうだ。運よくゼロ%で推移すれば、その分は歳入増として処理するのだろう。
いちいち驚くのは当方が知らないだけなのだが、予算編成とは膨大なルールや経験則、貸し借り関係の集大成なのだとつくづく思う。まさしくラビリンス(迷宮)だ。全工程は財務省という組織が有する暗黙知の中にある。たぶん個人で全容を理解している人はいないのではないだろうか。
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