私は首都圏在住の凡庸な40代。妻と共働きだが、二人とも勤務先は中小企業で稼ぎも知れている。それでも「3日休めたら海外」というルールを定め、月1ペースで海外旅行に出掛ける。
とりわけ楽しみにしているのが現地での食事。第1回はデンマーク・コペンハーゲンにある「世界一」のレストランを取り上げたい。
長い間、世界の食は、フランスを中心に回ってきた。現在でも公式晩餐会ではフランス料理を供するのが外交のプロトコルとなっている。しかし美食の世界では21世紀以降、スペイン、そして北欧や日本、中南米が脚光を浴びるようになった。
口火を切ったのがスペイン・カタルーニャのレストラン、エル・ブリだ。液体窒素を利用するなど、化学的な手法を取り入れた料理で注目を集め、世界のベストレストラン50で2006年から4年連続1位を獲得した(11年閉店)。45席に年間200万人の予約が殺到し、世界一予約が取れないとも言われ、話題を呼んだ。
ポスト、エル・ブリとして脚光を浴びるようになったのが、コペンハーゲンの「NOMA(ノーマ)」。10年以降、計4回世界一に輝いている。NOMAが現れるまで、北欧は料理業界ではまったく注目されていなかったが、シェフのレネ・レゼピらは、地域に根付いた質の高い食材、サステナビリティなどのマニフェストを掲げ、世界のトップに躍り出た。
13年には米国『タイム』誌が「ノマノミクス」という言葉を生み出した。この記事によれば、NOMAなどのニューノルディック料理の誕生により、コペンハーゲンなどデンマークの主要都市を訪れるツーリスト数は11%も増加したというのだ。NOMAは原則としてスカンジナビアの食材しか使用しないので、農家などにも恩恵がもたらされた。
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