オックスフォード大学は10月に新学年を迎える。毎年、厳しい選抜をくぐり抜けた学生が入ってくる。ただし、日本の大学とは違い、入学許可を出しても、実際に誰が進学してくるかは間際までわからない。特に大学院では、最終的に他の大学に行ってしまう者が少なくない。英国内での競合というより、ハーバードやプリンストン、スタンフォードといった北米の有力大学との間で、学生の取り合いが行われるのである。大学院レベルでは国籍を問わず、優秀な学生を授業料免除や奨学金で自校に引き付ける競争が起こっている。
東京大学が英語で行われる授業の受講だけで卒業できるプログラムを始めた。昨年の入学者選抜では、合格者の約7割が辞退したことがニュースとなった。しかし、国際的に見れば驚く数字ではない。辞退率が2割程度にとどまるハーバード大学を例外として、北米の有力大学でも歩留まりは55〜70%だといわれている。
米国では国内での競争が主たるものだが、一握りの優秀な学生が掛け持ち受験をし、それを奪い合う構図となっている。英語で受験し、英語で授業を受けて卒業できる東大のプログラムは、まさにそういうグローバルレベルの高度人材獲得競争(war for talent)に巻き込まれたのである。学生に課される学習の質と量の彼我の違いを考慮すれば、30%という数字は悪い結果ではない。気になるのは東大の歩留まり率が年々低下していることだ。それが教育の質についての国際的評価の反映でなければよいのだが。
国境を越えて学生が移動しやすい大学院となると、人材獲得競争のグローバル化はさらに激しくなる。このような現象を社会学者は「グローバルメリトクラシー」と呼ぶ。メリトクラシーとは能力主義が徹底する世界のことをいうが、それがまさに地球的規模で展開しているということである。
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