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EU離脱とイギリスの大学 高度化人材の流動性

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  • 苅谷 剛彦 上智大学特任教授・英オックスフォード大学名誉教授
[今週の眼]苅谷剛彦 英オックスフォード大学教授
かりや・たけひこ●1955年生まれ。米ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て2008年から現職。著書に『階層化日本と教育危機』『増補 教育の世紀:大衆教育社会の源流』『教育と平等』など。(撮影:尾形文繁)

国民投票による英国のEU離脱は日本でも大きく報道された。離脱が決定した日には、日本円も株価も乱高下した。中長期的に経済面への影響が懸念されている。

他方、英国内における主要な争点の一つは移民の流入問題であった。EUからの移民が英国人の雇用を奪っていることへの批判である。

しかし、移民問題については見過ごされているテーマがある。国外から高度な人材を引き付け養成し、活用するという課題である。中でも大学の果たす役割は大きい。

英国の大学は、留学生の流入などで、1年間に107億ポンド(約1兆5000億円)の収益を上げている。全学生のおよそ2割が外国人で、そのうちの3分の1弱はEUからの学生であり、彼らだけに限っても、年間22億7000万ポンド(約3200億円)の経済的利益を英国にもたらしている。しかも、彼らの多くは卒業後に英国にとどまり働き口を見つける。移民問題というと、低賃金で英国人の雇用を奪う人々に目が行きがちだが、高度な教育を受けた(英語も流暢な)人材もまた、EUをはじめ海外からやってきて英国経済を支えているのである。

学生だけではない。海外から優秀な学生を引き付けるためには、優秀なアカデミックスタッフをそろえなければならない。その点でも英国の大学は海外の高度人材に大きく依存している。英国全体で見ると、教育・研究に従事するアカデミックスタッフのうちおよそ28%が英国人以外で占められており、中でもEU出身者が約6割(全体の約16%)を占める。それだけ英国人の職を奪っていることになるが、こうした高度な人材について声高な批判は起こらない。卓越した教育・研究を維持するうえで、人材の流動化が不可欠であることが周知されているからだろう。EU側とて同じことだ。

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