天皇の生前退位問題が報道された後、専門家の間で甲論乙駁したが、多数意見は「法制上難しい」「認めるとしても一代限りの特別立法で」といったものであった。要するに小手先の対処策である。
8月8日、今上天皇は生前退位の意向を示唆する「お気持ちの表明」をビデオで行った。その内容は、公務の実践を通じて天皇と国民の関係を深く掘り下げて考え、憲法の定める象徴天皇制に正面から対峙した意義深いものであった。象徴という新しい革袋にふさわしい新しい中身を懸命に希求してきた努力に、あらためて頭の下がる思いがした。
ここまで根本的な問題提起がなされた以上、皇室典範の改正も視野に入れた対応がなされるべきだ。参考となるのは、世論の動向である。
日本経済新聞(8月12日)と読売新聞(8月11日)の世論調査を見ると、「生前退位を認めるべきだ」は、日経89%、読売81%に上った。しかも、「恒久制度に」は日経76%、読売80%であって、「一代限り」は、わずか日経18%、読売14%にすぎない。
また、「お気持ちの表明は憲法上問題か」という問いには「問題があるとは思わない」が83%(日経)、また「お気持ちを自ら表明されたことはよかったと思うか」に対しては「よかったと思う」が93%(読売)だった。
皇室典範の改正を
民意もあってか、政府も生前退位について前向きに考えているようだ。ただ、今後も象徴天皇制の維持と皇室の存続を真剣に考えれば、より重要なのは女性・女系天皇を認めることではないか。天皇家における男性の少なさは一目瞭然である。
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